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8月3日
『8月3日
彼に連れられ、山奥の渓流に行った。
最初は魚釣りをしようという提案だったらしいが、私が乗り気ではなかったらしい。
結局、彼が釣り竿を忘れたことに途中で気付き、ただ川の水に浸かって遊んでいたようだ。
気になる記述があったので記しておく。
この川に向かう際、彼の同級生と偶然会った。
どんな会話をしていたかまではわからない。
ただその後話を切り上げ、同級生たちと別れ私と川へ向かったのだ。
遊び盛りの年齢である彼が、友人との合流よりも私を選んだ。
推測でしかないが、おそらく彼はこの年、特別私を気にかけていたのだと思う。
要因はおそらく私だろう。この年の私は、きっと拗ねていたり不貞腐れていたのだと思う。
状況的に、そう推測できる。
彼が釣り竿を忘れたのもおそらくわざとだ。
私が釣りをしたくないことを悟っていたのだろう。
以上のことから、彼は年齢に見合わない、人への気遣いが上手い人間だったのだろう。
いや、それは家族から聞いていたので憶測ではない。
彼は優しい。
優しかった。
過去の私がそう感じていたことは伝わってくる。』
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