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そんなわけで、寮の裏手で鈴音を待つ。氷川は鈴音になんて言ってたっけ……
『針ヶ谷さんと違って、池亀さんはメンタルが安定してるからね』
「あれはさすがにダメでしょ。でもなんで池亀さんがいるの?」
「アクセの件で。それに2人が喧嘩しないか心配で……」
「暴れないでよ!? 池亀さんが一番危険なんだからね!」
あ、来たよ。鈴音の顔は険しい。可愛い子の不機嫌な顔はそれだけで怖い。
「なんなの氷川」
氷川は覚悟した様子で謝罪を。
「謝りにきた。メンタルが安定してないとか言ってごめんね」
「どうせ氷川の自己紹介でしょ? どうでもいいよ。
それよりもなんでレナと仲良いの? あんなに嫌ってたくせに。レナがいい子だからって粘着しないでよ」
これはまずい。
「もうあのことはいいんだって! 氷川には事情もあって……」
「親の漫画読んだけど、あの程度で虐待されたとか被害者ヅラしてたんだ。よくあることじゃん。何かのせいにしてれば人生楽だよね」
どうしよう、今の氷川に必要なのは記憶の塗り替え。これじゃ振り出しに戻ってしまう。
「甘えるのも大概にして。そんなんで社会でやっていけると思ってるの?」
わからないのかな。可愛くて明るくて、ずっと人気者だったら。もしかして私の過去にも同じこと言うのかな。
「それにあたしだけじゃないでしょ。女子全員に冷たくしてたじゃん」
でも氷川の表情は変わらなかった。
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