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「池亀さんにも相談してなかったかー。僕みたいなアウトサイダーのクズと違って、針ヶ谷さんは人気者だもんね。陽キャってそういうのあまり見せられないでしょ」
王道を歩けるから、逆に王道を外れることができないのかな。
「僕たちにとっては慣れっこなことでも、あの人たちにとっては世界が終わるような大惨事っぽいし。明るい人ほど脆いところあると思うよ」
「そうだよね……ちょっと様子見てくるね」
心配だ。私は女子寮の階段を駆け上がり、鈴音の部屋のドアを叩いた。
「鈴音?」
でも返事はない。代わりにメールが連投された。
【ほっといてよ。氷川と付き合えば? 彼氏欲しかったんでしょ? あいつ顔だけはいいしレナには優しいし】
【ママが優しい人だと、レナもいい子になるんだね。なんでも作ってくれるし、箱根にも連れて行ってくれるんだもんね。育ちがいいって素敵だね】
【氷川みたいなクズが助けてもらえるのおかしくない? 真面目に生きてる人が助けられないのはおかしいよ】
【漫画のネタにされたから何? あいつ性格悪いし、そりゃ親だって犯罪者になるかもって思うんじゃないの? 自業自得でしょ】
暖簾に腕押し状態。でも私にドアを破壊する腕力はない。そもそもセキュリティ的に……。
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