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待てよ、セキュリティといえば。
晴明高校の寮は、決められた寮生の異能にのみ反応するセンサーがついている。それ以外の人が入るとアラームが鳴ってしまうのだ。
つまり私が鈴音のベランダに入っても大丈夫ってこと。よし、私は自室に駆け戻り、余っていた髪と爪入りジッパーを用意する。
倉雲の藤色ヘアに触れ、ふわふわ浮かんで鈴音の部屋のベランダに着地。私は窓ガラスに触れた。
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「まさか池亀さん、やらかすつもりなんじゃ……みんなに言い付けないと!」
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初期のままの地味なカーテン。その隙間から散乱した物が見える。そして白い足首が見えた。
冷たい窓ガラスが、今の私たちの距離。今度はえんじ色の髪に触れる。貧血になったって構わない。
私の気持ちが届きますように。
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