やっぱりキレちゃった☆クソが!

1/6
前へ
/254ページ
次へ

やっぱりキレちゃった☆クソが!

 私たちは大部屋1ーRへ。自主室1は狭すぎるから。 「おい、市街地ホログラムのスイッチ見張っとけ。どっかのゴジラ女がやらかすかも知れねーぞ」  鈴音はパイプ椅子に座っている。いつもより小さく見え、目が真っ赤。  そしてポツポツと語り始めた。 「あたしの母親もおかしい人だった。キレると手がつけられなかった」  やっぱりそうだった。倉雲と氷川だけが冷静で、他のみんなは狼狽している。 「トレジャーランドの映画一緒に行った帰り道、いきなりキレられたんだ。それで家に帰って散々殴られた。だからあの漫画大嫌い。嫌なこと思い出すから」  どうしよう。当たり前のようにトレランの話してた。鈴音は知らなかったんじゃない、嫌な記憶と結びついてるだけだった。  ママの話もしちゃったし、部屋には入学式の家族写真が飾ってある。だから相談してくれなかったんだ。 「でも頑張ったよ。人前じゃ笑顔で、誰にでも優しくして、泣いたり怒ったりもしないで……」 「それでナチュラル不機嫌な僕が許せなかったし、最終的に『あの程度で虐待?』とか言っちゃったんだね」  氷川が締めくくる。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加