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王道を歩くにも才能がいる
私も訓練場を出て探しにいく。鈴音は中庭にいた。ベンチに腰掛け、足元の草を見つめている。私はその横に座る。
「よく付き合ってられるね。あたしゴミなんだからもう友達やめていいよ」
「だからあんなのいいんだって。反省してるなら責めないよ」
「ただの僻みだよ。家に帰れないから貯金しないといけないし、だからレナがお金持ってるのが羨ましかっただけ」
お金の心配なんてしたことなかったな。家に帰れないなんて考えたこともなかった。
順風満帆だと思っていた鈴音の辛い記憶。ひどい親、学校で被った仮面、帰る場所のない苦痛。
「倉雲も氷川も強いよね。御霊と喋ってるの色々聞いてたけど、あいつら学校でも避けられてたんでしょ」
氷川は友達もできなかった。倉雲は嫌われていた。そして家にも居場所がなかった。
「レナだって強いよ。友達いなかったんでしょ? あたしだったらそんな学校生活耐えられないよ」
可憐も御霊も強くなったし、加賀も穂村もいつも自然体だし。鈴音は次々に友人たちの名前を出す。
「明るくなくなったら、誰があたしを好きになるの?」
「そんなこと……」
「レナもみんなも、クズのあたしを知ったからもうおしまいだよ」
どうやって声かけたら……ふと人の気配が。
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