王道を歩くにも才能がいる

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「もう自分が許せない。レナに何言ったか聞いたでしょ? クソババアと同じ血が流れてるから、あたしはゴミなの」  氷川は首を振り、氷川にしかできないアドバイスを。 「じゃあ親ガチャ失敗ゴミ血筋野郎の意見言わせてもらうね。  追い詰められたら本当の人格が出るって言うけど、あれ嘘だよ。追い詰められたら誰でもおかしくなるだけ。  だから平和な環境が必要だし、針ヶ谷さんにはなかったんだよ」  これから作ればいいじゃん。そうすればだんだん落ち着いてくるよ。 「……ごめんね氷川。氷川の方がずっと立派だよね」  氷川はふふ、と得意げに腕を組んだ。 「とりあえずいい方法があるよ。針ヶ谷さんにも伝授しよう。嫌な記憶を塗り替えるんだ。僕の場合はクソじゃない女のサンプルを増やす」 「私は……クソじゃない人間のサンプルを増やす! 鈴音はその第1号だよ」 「じゃああたしは……明るい子じゃなくても大丈夫だった瞬間を増やせばいいのかな」  いい感じだ。 「でもね、怖いの。ドン引きされて友達いなくなったらどうしようって。そうなったらあたし、もう何もないでしょ。っていうか既にやらかしてるでしょ」 「もし本当に道を踏み外したら、私がぶん殴ってでも止めるから」  すると鈴音はやっと明るくなった。 「それだったらできるかも!」  いい兆候だ。だが思わぬ伏兵がいた。
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