王道に背を向けるにも才能がいる

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「あのね……王道なんて、本当はどこにもないと思う。  そもそも学校なんて、ただ同い年が集まってる異様な空間でしょ?  だからローカルルールが幅利かせるし、それが王道って呼ばれる」  倉雲も鈴音も無表情。氷川は祈るように私を見ている。 「でもフィールドは1つだけじゃないよ。たくさんある。  世界は広いんだから、自分が歩ける道のことを王道って呼べばいいじゃん」  すると2人はようやく笑った。 「確かに……バトル科に入れて楽しいよあたし」 「俺も遅れてきた青春謳歌してるな」 「それに何が王道かなんて、時代によって変わるよ。僕の母親だって、10年前なら非難されなかったんじゃない?」  氷川が納得の意見を。倉雲はニッコリ。   「俺は決めた。どんな道でも、自分が納得できる生き方をする。  針ヶ谷も足引っ張って悪かった。氷川も池亀もありがとな」  鈴音もニッコリ。 「あたしもやってみる! ……ねえ、せっかくだからみんなで乱戦しない?」  よし、誰の異能を借りようかな! ……とその前に。私はポケットからジップロックを取り出した。    鈴音の髪をもらって、咲山さんに提出したいから。
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