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私は帰りの電車でぼんやりしていた。
異能はみんな持ってる、でも悪用厳禁。それを破る連中がいる。
異能犯罪者と戦い、逮捕するのが異能師の仕事。一応国家公務員だけど、ほとんどヒーロー扱いだ。
固有の異能師コードとコスチュームを持ち、芸能人並みに人気がある人も。そんな異能師を育成するのが異能バトル科。全国の国立高校に必ずある。
つまり私は希望進路に進んだ。初めて自覚した異能のおかげで。
異能は16の属性に分けられ、変えることはできない。だからさっきのコピー能力は生まれつきのはず。
それに15年も気づけなかった。猛烈に情けない理由で。これからも活かすことはできない。
だって友達いないから。この先もできないから。
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晴明高校入学式、桜が無駄に舞い散っていた。式の後は教室に移動。
1年龍組という変わったネーミング。座席表を確認すると、16人しかいなかった。
そして担任はあのサマーノイズ先生だった。
「おはよう諸君。初めましてじゃない人も多いな。1年龍組担任のサマーノイズだ」
自己紹介でもするのかと思ったら、先生はプリントを配る。
「自己紹介と意気込みでも書いてくれ」
しかし私のプリントには、なぜか端っこに走り書きが。
【この後、異能訓練場の自習室1に来てくれ】
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