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加賀は列を出て水沢の腕を掴んだ。周りがざわついている。
「キモいだのなんだの、わざわざ聞こえるように言うことかよ! 俺の友達にくだらねえことほざいてんじゃねえ!」
加賀は水沢を見下ろした。その迫力は凄まじい。そして不特定多数の冷ややかな視線が、水沢に注がれる。
「最低! 悪口とかありえないでしょ! もう別れる!」
彼女さんも怒って帰ってしまった。水沢は私を見ることもなく、加賀に悪態をついて走り去った。そして周囲の皆さんは拍手。
トレラン見にきた女性たちは、加賀のイケメンムーブにキャッキャしている。自然と私に視線が集まった。すると加賀が私の腕を掴む。
「行くぞ」
そのまま走り出す。オーディエンスの皆さんは再び拍手した。
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