氷の王子は女子嫌い

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氷の王子は女子嫌い

 日曜日の夕方、私はママに車で晴明高校まで送ってもらった。運転席でママはワクワクした顔に。 「ねえ、ちょっとだけ学校入っていい?」 「いいよ。入り口で許可証もらおう」  受付で来客証をもらい、一緒に寮へ向かう。談話室には鈴音たちが。一斉にママを見る。 「レナおかえり……その人は母親?」  鈴音がママをじっと見る。ママは嬉しそうだ。 「この子が鈴音ちゃん? 可愛いわね〜芸能人みたい!」 「針ヶ谷鈴音です! レナとそっくりですね」 「しかも若え。あ、俺は加賀正志っす」 「穂村ソロモンです」 「え! え! 男の子もいるの!?」 「御霊麗夜です〜」 「倉雲道留です」 「神谷可憐です!」  ママは少し泣きそうになっていた。と思ったら。 「イケメンだらけね。やっぱり家系的に面食いなのかしら」 「違うって! 顔で男友達選んでないよ!」  実際おじいちゃんの若い頃はかなりイケメンだった。写真でしか見たことないけど。  ママの発言にみんな笑い出した。私も釣られて笑ってしまった。  帰り際、ママは今までに見たことないくらい喜んでいた。合格した時よりも。 「いい友達たくさんできてよかったね。何人呼んでも大丈夫だからね!」 「そんなに家大きくないでしょ! あ、でも庭開放すればいっか」 「よし! だったらお花増やしちゃお! じゃあまたね!」  ママは手を振って、車に乗り込んだ。昨日帰ったのに、もう実家が恋しくなる。来週また帰るからね。  
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