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鼻息も荒く意気込んで部屋の扉を開けたがそこに宗介の姿は無かった。あれやこれやと言っていた割に宗介も色々と準備する事があったらしい。
(ーーーどうしたら良いのだ)
ぼんやり立っているのも間抜けに思い果林はいつもの様にベッドに潜り込んだ。仰向けになると天窓に猫の目の様な三日月が見えた。12日前、初めて宗介の隣で眠った時は綺麗な満月が出ていた。やがて満月は新月になりこうして再び満ちて来た。
(確かにーーー抱き締めるだけでなにもしなかったな)
心から大切にされていると思った。そこで一瞬気が緩んだ果林は顎が外れそうな程の大欠伸をした。
「おや、大欠伸とは余裕ですね」
「仕事で疲れていて」
「そうですか」
「ごめんなさい」
「もっと疲れさせてしまったらごめんなさい」
「ーーーーー」
ぎしっ
宗介がマットレスに膝を突き、ベッドが軋む音に果林の身体は強張った。
(き、緊張しない!リラックス、リラーーーックス)
果林は心の中でそう唱えながら胸の前で握り拳を作り神に祈った。なにせセックスなど何年振りだろう余裕など1mmも無かった。
「果林、力を抜いて」
「むっ、無理です」
そこで宗介がタオルケットに潜り込んだ。
「ーーーえっ」
もぞもぞと動き回る宗介は足首を掴むと足の指を一本、また一本と口に含み始めた。爪先から駆け上がる微妙な感覚に果林は飛び上がった。右足の指を堪能し尽くした唇は左の小指を喰んだ。
「やっ」
果林は思わず仰け反り嬌声を漏らした。
「これは邪魔ですね」
宗介はタオルケットを勢いよく剥ぐと両足首を掴んで持ち上げ果林の目を凝視しつつ足指を堪能し始めた。軽く噛み、口に含み舐めて吸い上げる。その呼吸する様な愛撫に果林は顔を背けた。
「こっちを見て」
「嫌です、恥ずかしい」
「見て」
深く静かでいて唸るような声に果林は従うしかなかった。
(ーーーこんなの初めて)
果林は両足を抱え上げられしゃぶり尽くされる自身の姿を恥じらいつつ身悶えた。
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