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★住野よる『か「」く「」し「」ご「」と「』2021年、新潮社
青春、みたいな小説が読みたくなって……それぞれ違った形で、他人の心が見える、5人の高校生のお話。心が見える、と言っても、心の全部が見えるわけじゃないので、たくさんすれ違ったり、悩んだりする。
「高校生だとそうだよねぇ」という可愛らしさもあり、「あー、わかるわかる」とちょっと読み手の心が痛くもなる、みずみずしいお話でした。
☆紅玉いづき『今宵、嘘つきたちは光の幕をあげる』2023年、ポプラ社
『ミミズクと夜の王』を割と最近読み、紅玉いづきさんを好きになった。
これは、文学者の舞台名(サン=テグジュペリやアンデルセンなど)を持つ、少女サーカスの団員たちの物語。
特別な力を持たないけれど(あるいは持っていたとしても、現実に当たり前にいそうな)、強い少女たちがたくさん出てくる。
今回の登場人物だったら断然アンデルセン(花庭つぼみ)が好きですね。
★赤江瀑『金環食の影飾り』2018年、小学館
現実と新作歌舞伎が融合した耽美なミステリー。歌舞伎を見たことがなくても問題なし。でも、無性に歌舞伎が見たくなる。
主人公が女性なのですが、彼女の元カレの態度や振る舞いが、すごく現実的……主人公の心が一瞬元カレに傾きかけ、そしてすっと冷める描写が好き。
『その手は、美しく、精悍だった。その手が美しく、精悍であるだけに、曙子の心は冷え上がった。』
☆A・ブラックウッド 他『迷いの谷 平井呈一怪談翻訳集成』2023年、東京創元社
ホラーっぽいのが読みたかったんですねー、平井呈一さんの翻訳は『吸血鬼カーミラ』『オトラント城綺譚』で読んだことがあるので、これは読みたいな! と。怖いというより興味深いというか、そんな感じで読んだなー。
某通販サイトのレビューで、「年配の人間しか創元推理文庫を読まないのに、文字が小さい」みたいなレビューを見かけた。決めつけないで欲しい。
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