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『仮面物語』など
★山尾悠子『仮面物語――或いは鏡の王国の記』2023年、国書刊行会
山尾悠子さんは、細かな設定や時系列を意識せず、迷いながら読んでいる。
この作品は山尾さんの初期の作品らしく、話の筋は他の作品よりわかりやすい気がするが、整った文で複雑で不思議で妖しい物語が紡がれるの最高。
魔術師やゴーレム、自動人形の単語にビクッときた人はみんな、この作品を読んで欲しい。
☆中澤系『中澤系歌集 uta0001.txt』2018年、皓星社
彼が今の、おかしな社会に生きていたら、どんな歌を詠んだのか。
システム化された社会への、なにか切実な想いが詰まった、歌。
私は、単なる怒りや呪いの歌には読めなかった。
有名な歌人なので、解説や解釈なんて検索すればするだけ出てくるだろうし、この歌集についている解説も、書き手が豪華だ。
だけど、初めに読むときはそれらは無視して欲しい。
なんなら解説なんて要らないと思ってしまった、誰かの言葉でこの歌集を解釈することは、私には不要だった。
『ぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわ』
★篠田千和基『世界植物神話』2016年、八坂書房
大学のときに読んだかも、と思いながら図書館で借りた。
この本、めちゃくちゃするする読めるし、著者の主観かな? みたいなことがたくさん挟まっていて、軽めのエッセイみたいだ。
それにしてもギリシャ神話、植物に変身しまくりである(スイセン、アネモネ、ヘリオトロープ、月桂樹、ミントなど)。
☆種田山頭火『山頭火俳句集』夏石番矢編 2018年、岩波書店
山頭火がこんなにも近代的であることをどうして誰も教えてくれなかったんですか!? と、まず1ページ目を読んでびっくりした。
エモい句が紛れている、平成初期生まれです、みたいな。
『サイダーの泡立ちて消ゆ夏の月』
『どうしようもないわたしが歩いてゐる』
★近藤ようこ『高丘親王航海記』原作:澁澤龍彦 2020~2021年、KADOKAWA
これはマンガなのですが、とても衝撃を受けたので……私は澁澤龍彦が好きで、『高丘親王航海記』も読んでいる。
近藤さんの絵はすっきりと可愛らしくて品がある。過剰ではなく不足でもないエロティシズムを纏わせて、高丘親王の旅路が描かれていた。
澁澤龍彦るが気になっている方、ぜひここからドラコニアの世界に足を踏み入れませんか!?
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