1-3 4月18日の彼と彼女の日常

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 ハマると周りが見えなくなる、好きなものに一直線、好き過ぎて奇行に走ることが多い――家族や仲の良い友達からの、私の性格の評価は概ねこのような感じです。  『奇行に走る』についてはモノ申したいけど、他は納得。  私の趣味はお絵描きと工作と研究ノート作り。今まで研究した物事は数知れず、作った研究ノートは30冊以上!   『間違い探し完全攻略』『『ピカピカ泥団子の記録』『イケてる盆栽の作り方』『マンガ・アニメの伏線考察』……私は、楽しいことを見つけるのが得意だし、それに全力を注ぐことも大の得意です。  ただ、全身全霊で全力過ぎて、人からは奇行に見えてしまうみたい。『喋らなければいい』と言われたこともありますから。  高校のお友達は人に迷惑をかけなければ、私の奇行? 暴走? に関しては見守ってくれます。今も、マリちゃんたちが不思議そうな顔で私を見ていました。 「教科書にマーカーするのが、さっき思いついた『いいこと』?」  お弁当を食べ終えるなり、教科書を机に積み上げて作業を開始すると、マリちゃんが首を傾げます。 「そうそう」 「マーカーしてんの、重要語句じゃないよね? なんで?」  ええ、重要語句じゃないです。  私はただ、穂さんを連想させる言葉を、ひたすらマーカーしているだけです。 「授業を楽しくする工夫だよ。授業ってやっぱり、眠くなっちゃうこともあるでしょ? でも、マーカーされている単語が目に入れば、あら不思議! テンションぶち上げ!!」 「……まさかとは思うけど、『水産業』やら『水産資源』にマーカーしてるってことは」  さすがマリちゃん、鋭い! 私はグッと親指を立てます。 「正解! 今マーカーしてるのは、私の大っっっ好きな人を連想させる単語でーす! 見て、このページはなんと、5『穂さん』!」 「新しい単位を生み出すな。みんなー、解散だー。この状態のハルに近寄るとヤバいぞー」  ああっ、みんな死んだ目で散っていく! 私は必死にマリちゃんのカーディガンの裾を掴みました。 「待って、ちゃんと消せる蛍光ペンでマーカーしてるよ!?」 「なんの言い訳」 「マリちゃんもやってみよう!」 「やらんわ!」  鋭く突っ込んだマリちゃんは、だけど少し歯切れの悪い口調で続けます。 「ハルが彼氏のこと大好きなのは、すごくわかる。わかり過ぎるほどわかる。でも、その、彼氏はハルのそういう感じは、全然オッケー、なの?」 「そ、それは……」  一気に冷静になりました。水をぶっかけられた気持ちです。
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