第1話 君の歌が聴きたいから

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第1話 君の歌が聴きたいから

 関根彩乃、どこにでもいる様な高校ニ年ですが、現在青春真っ只中です。  「おーぃ、彩乃。メイク教えてー」  彩乃は休み時間、クラスの女子たちに化粧の仕方を教えている。  次の授業の準備をしながら、化粧の道具をポーチから取り出す。    「ちょっと、待って。すぐ行くから」  化粧をしたいという女子が増えているので、できるだけナチュラルなメイクをしてあげようと心がけている。  皆、化粧なんてしなくても立派な顔立ちをしていると思うのだが…。  最近、クラスに気になる男子がいる。…気になるといっても好きとかではなく、単純に化粧をする側の目線の人間として。  前髪で顔を隠しているが、きっと端正な顔立ちだろうと見ている。  その男子、藤巻明斗くんはずっとマスクをしている。クラスで誰かと話している姿など、見たことがない。  「あのさ、彩乃ちゃん。俺にもメイクやってよ」  これは、腐れ縁でクラスメイトの槙野圭汰。幼稚園から高校まで一緒だったが、何のことだかわからないが人気モデルになっているらしい。    「はぁ〜。そんなに可愛く呼んでもダメ。残念でした。あなたは、専属のヘアメイクさんがいるんだからやらなくてもいいでしょ」  「いいじゃん、別に。減るもんじゃないし。」  「減るんです、私の化粧品が」
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