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届けばいいのに、届かなければいいのに。~蓮二サイド~
「蓮二、先行くぞ?」
「おう」
「帰りは遅いかも。ちゃんと飯、食えよ」
慌ただしい朝の時間、無駄に広い玄関先で優斗が言った。
「わかってるって」
「本当かよ。って、マジで時間ねーから行くわ。じゃあな」
小さな声で「おう」と蓮二は呟いた。
その背中を見送りながら、そこに座り込み、毎朝同じことを思うのだ。
あいつは今日も帰ってくるだろうか。
今日は俺に抱かれてくれるだろうか。
今日は俺に好きだと囁いてくれるだろうか、と。
ありえもしないはずのない望みに、慣れたはずの痛みが重くのしかかっていた。
〜二度目の恋〜
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