ユレル…

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卒業式の後でもいつもと変わらないバカ騒ぎ。 友達と別れを惜しみつつも、私は隣のグループに聞き耳を立てていた。 「俺の好きなタイプは茶髪ロング一択だから」 「…マジで⁈孝晴(たかはる)意外にチャラいな」 「入学前に俺もアッシュかカーキーにすんよ」 「マジか‼︎彼女できたらその友達紹介してくれよな」 「あ…ズリー孝晴、俺も‼︎」 「……おぅ」 黒髪ボブはお呼びでない…と。 「いやー…でも、孝晴は絶対(ぜってー)千尋(ちひろ)だと思ってたわ」 「ハァ?」 そう言って孝晴が私の方を見た。 そんな孝晴に私も応戦する。 「ハァ?」 「…じゃあさ千尋、俺と付き合わね?」 孝晴を押し退けて、安原が私に交際を提案してきた。 「…」 顔良し、頭良し、性格良し。 断る理由がない。断る人なんていないと思う…私以外。 「あの…」 「とりあえず明後日、遊びに行こうよ」 「あ、うん」 教室中から一斉に拍手が送られる。 いや、待って…。付き合う訳じゃないんだけど。 「ヤスの手には負えねぇと思うけどな…千尋だし」 孝晴の悪口にムッとしつつも、私は聞こえないフリをした。
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