ユレル…

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「…えーっと、おはよ」  翌日、一番初めに話しかけてきてくれたのは希だった。 「おはよう」 「んと、まぁ…聞こうか」 「何か、誰も話しかけてきてくれない」 「まぁ、うん。ちょっと話しかけにくい崇高なものと化してるわ」 「何それ」 「美人の自覚ないもんねー」 「この頭、バイトで怒られないかな?」 「そう思うならそんなぶっ飛んだ髪型にしなけりゃ良かったのに」 「だって、羽賀さんが…」 「誰よ」  周りに話を聞かれない様に2人で並んで座って、インスタのDMで昨日の事を一通り報告した。 『ったく、素直じゃないんだから…』 『え?』 『いや、別に』 『これ見よがしに短くしたみたいに思われちゃったらどうしよう』  希が顔を上げて「ふーん」と言いながら 『三島の顔、見てみなよ』  と送ってきた。 「え?」  顔を上げたら孝晴と目が合った。孝晴は一瞬目を見開いて、すぐに俯いてしまった。 『ねぇ…何か怒ってるかも‼︎』 『千尋はどうなの?』 『何が』 『髪型が「らしくない」って言われて怒ってないの?』 『悲しいってだけで、怒ってはいないよ』 『三島は千尋が怒ってると思ってるんじゃないかな?』  怒ってなんかいないよ。  私の事がお呼びでないのは分かったからさ、せめて友達ではいさせてよ…。
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