ユレル…

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9月中旬、放課後は連日文化祭の準備で賑わっていた。 今日も教室内は物で溢れかえっている。カフェの看板用の木材にペンキ、衣装の為の布や裁縫道具、模造紙やら筆記用具の数々…。受験前最後のビッグイベントにみんな気合いが入っている。 ほとんどの女子は"裁縫チーム"だったけれど、私は針とは為孝晴と同じ"看板チーム"にいた。 「今日はそろそろ終わりにしろよー」 先生が各教室を覗いて声を掛けて行く。 「大分進んだね」 髪を結んでいたシュシュを解き腰を上げる。 狭いスペースでの作業中ずっと正座状態だったせいか、立ち上がった時によろけてしまった。 間一髪のところで向かい側にいた吉野くんが抱き留めてくれて、何とか転ばずに済んだ。 「ありがと…(いた)ッ」 髪が、まるでドラマの様に吉野くんのボタンに絡まってしまっていた。 「あ…」 またバランスを崩して思わず吉野くんに抱きついてしまう。 「ごめん、髪引っかかった」 「大丈夫、今取るから待ってて」
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