ユレル…

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 ゆっくり顔を横に向けると、裁ち鋏を持った孝晴と目が合った。 「切るならボタンの方でしょ、普通…」  また誰かの声が聞こえた。  孝晴は黙ったまま気まずそうにしている。 …何とかしなきゃ。 「あ、はははッ…。ちょうど髪の毛切ろうかなってさ、思ってたんだよ、ね、希」 「あぁ、うん。ね…」  咄嗟に希が話を合わせてくれる。  切れたのはほんの十数本、数センチ…大した事じゃない。  髪を結び直して帰り支度を始める。
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