28人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
卒業式の後でもいつもと変わらないバカ騒ぎ。
友達と別れを惜しみつつも、私は隣のグループに聞き耳を立てていた。
「俺の好きなタイプは茶髪ロング一択だから」
「…マジで⁈孝晴意外にチャラいな」
「入学前に俺もアッシュかカーキーにすんよ」
「マジか‼︎彼女できたらその友達紹介してくれよな」
「あ…ズリー孝晴、俺も‼︎」
「……おぅ」
黒髪ボブはお呼びでない…と。
「いやー…でも、孝晴は絶対千尋だと思ってたわ」
「ハァ?」
そう言って孝晴が私の方を見た。
そんな孝晴に私も応戦する。
「ハァ?」
「…じゃあさ千尋、俺と付き合わね?」
孝晴を押し退けて、安原が私に交際を提案してきた。
「…」
顔良し、頭良し、性格良し。
断る理由がない。断る人なんていないと思う…私以外。
「あの…」
「とりあえず明後日、遊びに行こうよ」
「あ、うん」
教室中から一斉に拍手が送られる。
いや、待って…。付き合う訳じゃないんだけど。
「ヤスの手には負えねぇと思うけどな…千尋アホだし」
孝晴の悪口にムッとしつつも、私は聞こえないフリをした。
最初のコメントを投稿しよう!