2 はるもの

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「そこ大事だと思うけどなぁ。デートなのか、ほんとに遊びに行くだけなのか。それで服、ぜんぜん違うんじゃないの」  春海はとりあえず、今の西春の言葉をスマホにメモを取った。    ・デートかどうか。  これはあとで冬火にでも聞いておけばよい。 「ま、なんにせよそののために服選んであげなきゃね。こういうのどう」  スマホでファッション投稿サイトの写真を出してくる。  シンプルで、春海のクローゼットにも似たようなものがあるから、真似はしやすそうだ。 「あとこーゆー雰囲気とか……これとか最近流行りだよ」  次から次へと写真が出てくる。色々出して、好みを探っているようだ。ときおり検索ワードを変えては春海に見せてくる。 「詳しいな」 「まぁ、好きだしね。あと金かけてるし」 「どれくらい?」 「こないだはじめてローン組んだ」 「うわ、」  着道楽のファッションマニアだと聞いていたが、なるほどその通りのようだった。借金までして楽しもうという気概が春海にはまず理解できない。 「で、どう? なんかピンと来るコーデあった?」 「ピン……、いや、なんていうか……違いがわかんない」 「ええ? 全部違うけど。どれがその知り合いに似合いそうとか、逆に嫌いそうとかないの?」 「……、ない、」 「あっそう……あ、火曜だよね? 天気は晴れだな。ん、夜少し寒くなるかもね。時間は? 昼なんだっけ? アウターいる?」  それもわからなかった。スマホのメモを追加する。    ・時間帯。  西春は続けざまにいくつかの質問をした。その殆どが春海にはわからないものだった。  メモが増えていく。    ・好きな色。    ・好きなテイスト。    ・NGなテイスト。    ・アクセサリーをつけるかどうか。    ・日焼けの程度。    ・体格。  メモの行数が肥大化していく様子を、西春が呆れたように見つめていた。 「黒川お前、よくその情報量で服選ぼうとか思ってんな」
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