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「いや、時間が短縮できますので、人件費を考えると有効ですよ」
「でも5分も変わらないはずだけど?担当が1件だけなんだから時間は有り余るはずだと思うけど?~普通は」
「・・・」
そう言うと、彼は黙ってしまった。
この他にも彼は指摘をする度に、会社の決まり事や仕事を進めるシステムへのクレームで俺に対抗をして来るのだ。
全く、その自己主張するパワーは仕事に向けられないのかと言う話である。
結局のところ彼に任せた物件は、彼が前に進めなくなったところで、もう一度だけと言う事で俺が同行しフォローすることとなった。
その時のアポはいつもすんなり取れたし、客先はいつでも歓迎と言っていたので、彼が「アポがなかなか取れない」と言っていた事は嘘であることがバレバレとなった。だが、それでもその事に対して全く引け目を感じていないところは、彼の凄いところだと俺には思えた。
結局、彼も資格と喋りの上手さで人事部のお眼鏡にかなった弊害の一人で間違いなさそうである。
直接実務を行っている下々から言わせてもらうと、そんなことより個人の倫理観や性質、性格の方が大切だと思ってしまう。
資格を持っていたり頭がよかったりしても、楽をすることや言い訳ばかりに能力を使い、実務の方に頭を向けなければ全く使い物にならない。
我が社にもどこを向いて仕事をしているのかと言う奴がちらほらみられる。いわゆる社内営業にばかりに力を注いで、客先に能力を使わない奴のことである。しかし、そんな奴ほど出世したりする。
年齢を重ねて行くと頭を使って来たことにしか頭が働かないようだから、そんな奴は役職だけの老害にしかならないだろう。俺はそんな気がしている。
彼も口先の瞬発力は凄いから、社内営業に尽力すれば出世するかもしれない気もするけど、彼が頭を使うポイントは”いかに楽をするか”だから、まあ出世も出来ないことだろう。
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