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僕の言葉に女性は首を傾げたが、すぐに頷いてくれた。そして紙に書きながら話した。
「よく分からないけど、伝えてくれるってことでいいんだよね。えー、まずは警察が来たら、この転がってる人たちと一緒に、警察署に行ってほしいんだ」
「えっ、僕は結局捕まってしまうということですか?」
思っていたことと全く違っていて泣きそうになった。すると金髪の女性は腕を組んで怒った顔をした。
「人の話は最後まで聞く!警察にこっち側の協力者がいるから、その彼に『友人が足止めをしてくれている間に、お金をばらまきました』って伝えてほしい。これで、こいつらが転がってる理由はつくからね」
「あの、ここにいない輝は疑われたりしませんか?」
「その辺りは、輝に目を向けられないようにこっちがやっておく。だから安心して君は、今言ったことを伝えてくれたらいいからね。そうだ、一つ質問。君は詐欺とかに関わったことはないよね?」
僕は大きく頷いた。
「ないです。僕と輝は、出来るだけ組の人と関わらないようにしていたので」
「だったら捕まらないね。ただ君がばらまいたことになるから、ちょっとお叱りを受けてもらうことになるけど……。まあ輝本人は、こっちが叱っておくから」
女性は微笑みながら言った。僕もつられて笑ったそのとき、遠くからパトカーのサイレンが聞こえた。
「来たね。じゃあ、さっき言ったことを伝えてね。ぼくはここで失礼するよ」
そしてその人は、金髪の髪をなびかせながら去っていった。
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