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3.今回も楽しく自己満足100%☆お支度の記録
紙の同人誌づくりの醍醐味といえば、装丁ですよね。
どんなサイズの、どのくらいの厚みの本をつくるか。
どんな紙をつかうか。
遊び紙(※)を入れるか、入れないか。
本文のレイアウトはどうするか。文字の大きさは? フォントは?
私も長らく「紙の本」で育ってきた世代なので、そういうことを自分で考えて、思いどおりの本を作れるのはとても楽しいです。
※遊び紙…表紙の次に入っている色紙や加工紙のこと。作品の印象を伝えるために挟むことが多く、どんな遊び紙を入れるか、印刷所のラインナップから選んだり工夫するのが同人誌づくりの楽しみのひとつですよね!
個人的には、シンプルな装丁が好きです。
小説は文字が主役なので、あまり個性的すぎないフォントとか、読みやすく端正なレイアウトが好き。表紙の紙の厚さなんかも、それを意識して自宅にある本を手に取ってみると、個性なんかないように見えて、実はものすごく多様なことにあらためて驚かされます。
新刊「モノクローム」は、私にとっては初めての「挿絵入り・A5サイズ」の小説本です。A5サイズの書籍ならば「2段組み」が主流。文字の大きさや行間、段落の切れ目にいたるまで、ものすごくこだわりまして!
たとえば冒頭のレイアウトは、こんな感じです。
こういう「いい感じ」のWordレイアウトデータがパッケージになって売られているので、それを購入してバリバリ好き放題にカスタマイズしました。ルビの大きさとか。
▼こんな感じ。
それに、表紙や本文用紙だって、ほしふるほたるさんの装画の魅力を最大限に引き出せる紙を選ばねば…!と気合いが入りました(鼻息)。
繊細なイラストが最も綺麗に印刷できる紙は、何の個性もない、ぺたっとした、カレンダーの紙やハガキみたいなつるつるした白い紙です。でもそれだとちょっと味気ない…モノクロのイラストだからこそ、ちょっとだけこだわりたい…でもゴテゴテの特殊紙だと、うまくインクがのらない…。といろんな印刷会社のいろんな用紙見本を見比べて、ほたるさんにも相談して決めました。
表紙の紙は「里紙」。色は「きり」。紙のカラーコンセプトが私の好みド直球だったこともあってこれに決めました。曰く「きり:健やかに育つ桐の樹木の清楚なたたずまい」。渋い灰色の紙で、イラストにめちゃくちゃ合ってませんか…!!
▼ちょっとザラっとした質感が好い感じの「里紙」。
(転載等防止の観点から狭くトリミングしています)
あそび紙も入れました。「てまり」という特殊和紙。銀と白の糸がランダムに漉きこまれた不思議な紙。
本文用紙も、小説本としては厚めの110kgの上質紙を選択(紙の厚さは斤量といってkgで表します。不思議ですよね~)。これは、わずか30ページの薄い本だったので、少し厚い紙を使うことで幅を出し、存在感のある「嵩高な」本にしたかったからです。
パッと見はそっけないほどシンプルだけど、よく見たらこだわりがある。
読み手の思考や想像を、なるべく邪魔しない端正なレイアウト。
そういうのを毎回毎回、追求しております…!
装丁の話、もう少し続けます!
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