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Fくん。
この病院から三百メートルくらい南のマンションに住む零歳の男児。ベッドで寝ていたら泣きわめいていた。力が弱いせいか骨が見えるほど体を掻きむしることはなかったものの、体の右半分がひっかき傷だらけになっていたとのこと。
Gさん。
この病院から百メートルほど南にある会社に勤務する二十代男性。仕事中に突然叫び出し、凄まじい力だで右足の裏をひっかき始めたとのこと。
――何が、起きてるんだ。
もうわかっただろう?
被害者たちの発生地点が、どんどんこの病院に近づいてきているんだ。みんな、突然パニックになって体をひっかいて死ぬ。それも体の右側ばかり。たちなさま、という名前を叫んでいる人間も少なくない。
私は悟ってしまった。何か、恐ろしいものがこの病院に近づいてきていると。病気ならまだいい。医学で何とかできる可能性がある。しかしこれは、この事態を引き起こしているものはそんな生易しいものではないかもしれないと。
それこそ、人知が及ばない存在。
ああ、確か君は、ゴジラが好きだと言っていたっけ?ゴジラがなんで人にとって害になるのかは言うまでもないだろう?通るだけで、その巨大な体で人の命や営みを踏みつぶすからだ。放つ放射能で大地を汚染するからだ。そこに悪意なんてものはない。ただ、歩きたい方に自由に歩くだけで、人類の敵になってしまう存在。もし、そういうものがこの世にいるとしたら。
そしてそれが、ゴジラのようにわかりやすい脅威の姿をしていないという、それだけのことであったならば?そもそも、人間の目に見える怪物ではなかったのなら。
――そんなの、防ぎようがない。
つまり、そういうわけだ。
その後どうなったかって?――私自身も、こうして病院に担ぎ込まれた時点ではっきりしているだろう?
何を見てそうなったかって?はははははは、そんなの、説明できるわけないじゃないか。話すことさえおこがましい。あれは、たちなさまは、つまrへ0り、さふふふふふ、とfwkく、、ひとの右側が憎い、だくぁえあ、わたしも、右側をささげなければいけないから自分の胸をああああああああああああえfrqj03ふぇ9ああああああははははっは、は、あああf3くぁrm0はは。
ああ、君の家、この病院のすぐ隣だっけ。
ふひひひ、おきのどくさまだねえ。
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