3人が本棚に入れています
本棚に追加
「カッコつけて過去形?現在もやろ?」
「ま、まぁ…昨日もちょっとあったしな」
享は足を止め、目の前の大衆居酒屋を指さした。
「ケイト。ちょっと飲んでいこうや。どうせ帰っても暇じゃろ」
「いいね。そう思ったとこ」
店内に入り、席に着くと、とりあえずビールだろと、ありきたりな台詞を吐きつつ、中ジョッキを飲み始める二人。
享は一口だけ飲み、ビールを流し込んでいる啓斗を見た。
「まだ店には出とるんじゃろ?」
言われてジョッキを置き、享を見る。
「うん?」
「リサのこと。続けてて大丈夫なんか?」
あぁ。その話ね。と啓斗は軽く頷いたが、考えるように遠くを見た。
串焼きを一口食べつつ、ビールを一口。啓斗の返事を待つ享。
「……仕事が好き言うとるんよ。だから辞めることはないと思う。それに、辞めろとか俺には言えんよ」
「そうか。でも、心配じゃないん?」
「何が?」
「いろんな男が毎日行くんで」
「あぁ。俺もお前も、その一人じゃね」
「リサは可愛いから、誘う奴もいるじゃろ?」
「知らんけど、まぁ大丈夫やろ。店長もいるし」
「ま、お前は、あかりさん公認じゃけ。リサも守られとるかな?」
「ま、それもあるけど、信じとるけぇな」
「何を?」
「そりゃ、全部」
「惚気かよ」
「ふはははは。妬くな妬くな」
「何が……妬くわけないじゃろが」
「てか、キョウは彼女いなくていいんか?」
「まぁ、欲しいっちゃ欲しいけど。今はおらんでえぇよ」
「何で?」
「一途にいきたいんよ。ケイトみたいに器用にできんし」
「ほ?」
「彼女とは別に、遊ぶだけの女とか作れんし……それなら彼女はおらん方がえぇ……な?絶対に今は、いらんじゃろ?」
最初のコメントを投稿しよう!