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「女遊びは芸の肥やしっていうけぇな。まだまだ遊ぶんじゃろ?」
「ちょい待て。何の芸なん?ケイトに芸とかないやろ」
「ま、たとえ話やん。深く考えな」
「深いと言えば、結婚じゃね。どうするん?」
「ほ?」
「ほ?なんなんよその返事は?」
「いやいや。逆に、なんなんその質問」
「24だろ…結婚してても可笑しくない歳じゃ。いい女がずっと待っちょらんで」
「ん?」
「いつまでもいると思っとった希子ちゃんがいなくなる…それと同じじゃ」
「…あ?それとは違うじゃろ。希子ちゃんと付き合う気なかったやん」
「たとえ話だよ。ってか、奪われるぞ」
「誰にだよ?」
「俺に。リサ以外の女に現を抜かしちょる間に」
「は?」
少し怒ったような表情の啓斗に享は笑った。
「ははは。冗談じゃ。リサを獲る気なんてサラサラないわ」
「マジ、へんな冗談やめろや」
「奪う気はないけど、中途半端なことしとんなら許さんけぇな」
「ん?」
「本気で付き合っとるなら、泣かせんな」
「お?泣かせるようなことは……」
「心当たりあるんか?泣きそうな顔してたぞ」
「は?いつだよ?それはないやろ」
「ケイトには見せたくないんじゃろな」
将来を考えている相手に隠し事をされているような気がして、啓斗の表情は険しくなる。
「てか、なんでキョウに?」
「ま、仲を取り持ったからじゃねぇの?俺に対しては恋愛感情ないけぇ」
俺に対してはと言ったが、享も理沙は恋愛対象ではない。
それは啓斗も分かっていることだ。だとしても、心のどこかで二人の仲の良さを、友人以上に思うこともあった。
「リサを好きなん?」
「は?なんでや。中、高一緒だったけど、そういうのないわ」
「ならいいんじゃけど……真面目な話、結婚は考えとるよ。離したくないけぇ」
「うん。俺は、ケイトとリサを応援しとる。じゃけ、中途半端が許せんのじゃ」
普段見せない享の厳しい表情に、啓斗は身が引き締まる思いがした。
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