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「洋風居酒屋のketaoの近く」
「あらら。凄い偶然。私、そこにいるわよ。来るでしょ?てか来な!」
「飲んでるの?」
すぐそこに、最強の助っ人とでもいうべき、あかりがいることで理沙は一気に不安が晴れた。
あかりが、今どうしているのかと聞く余裕も生まれていた。
「おん。飲んでる。けど、一人じゃなくて……トモカと一緒よ」
「友香さん?」
「そうよ」
お転婆という言葉が似あうあかりとは正反対の友香。
一言で表せば、冷静沈着。
同じように、二人とも夜の店で働くということは知っていたが、関係までは知らない理沙。
ただ、一緒にいるというのには驚き、それが理沙の声に出た。
「珍しい。一人じゃないなんて」
「たまたま、店の前で会ったから、情報交換も兼てよ」
「あ~。そういうこと」
「早く来な。待たせんなよ~」
理沙が店に入ると、空席は目立たないほどの混雑具合。
がっつりと夜型人間の集う店であることもあり、店内は昼と夜が逆転している。
「お、リサ。ここだよ」
友香が、店内に入ってきた理沙を見つけ、小さく手招きした。
「お久しぶりです友香さん。あの、あかりさんは?」
「ん」
飲みながら、化粧室の方を指差す友香。
「トイレですか……」
苦手ではないが、畏まってしまう。
あかりにはない、緊張感を少なからず纏う友香。
理沙が自分のことをどう感じているかを知っている友香は、いつもと変わらず、呟くように言う。
「とりあえず、座りなよ。何飲む?」
「あ、あの、えっと……」
何かを飲む気にはなれなかった。
理沙の心境を聞いていない友香は、自分のペースで絡む。
「久しぶりに顔見せんのに、遠慮すんなって。ほら、どれにする?」
友香は机の上のメニュー表を理沙の方に向ける。
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