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「違う!」
違うとは言ったが、全て噓ではない。心のどこかで、考えていなければ出てこないのが言葉だ。それは、違うと答えたあかりも分かっている。
「違わない。店が無事ならいいの?店を支えてるキャストは無視?」
尚も冷静に聞いてくる友香。その答えは、黙って聞いていた理沙も気になった。
「あかりさん?」
不安で押しつぶされそうな理沙の表情にハッとしたあかり。
こんな顔させては駄目だと思ったからではない。
「仕返しするって言ったでしょ」
理沙に言った言葉を、今度は友香に言った。
「それって?」
「アフターが変になっただけよ。売り飛ばすわけないでしょ。早とちりしないでよ。トモカは、たまに自分の解釈で決めちゃうから…」
「あ~。それな。ごめん」
「ま、今後は、アフターの仕方も今以上に念入りに考えるよ。リサの防衛能力
を過信した」
「ん。そうして」
「ま、あいつには、リサにした倍以上の仕返しをしとく」
「どんな?」
「女性不信になるくらいのすごいやつ」
「それって、二度と店に来なくなるんじゃ…」
「それはそれでもいいけど、奴には、安~~~~い香水でも渡してご機嫌とっとくわ」
「ん?なんで?」
「店の評判落とされたらかなわん」
「ん。あくまで客としてみてんだね」
「いや。客じゃなくて、金だね。あいつ金持ちだから」
「ふはっ!あんたらしいね。で、どうすんの?」
「私もハラワタ煮えくりかえってるからね……ダボハゼが」
「あいつの会社潰しちゃう?」
「いや。そこまでしない。あいつ個人の問題だもん」
「あかりさんも友香さんも、言ってること滅茶苦茶だけど大丈夫?」
あかりと友香は理沙の方を向き、声を揃えた。
「もう心配ないよ」
この後、店を出るまで、この話題で持ちきりになった。
韓国ドラマかと思うほどの復讐劇のシナリオが、あかりと友香さんによって生み出されていく。理沙は、これ、本当にやったらやばいなと思いながらも、口を挟むことなく、聞き入ってしまった。
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