告白

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告白

 「お母さん⁉ お母さんには話しとかなあかんことがあるねん。 ギターが届いたあの日からの事やけど、話してもどうせ信じてもらわれへん・・とか、  明日こそはもう現れへんやろとか思ってるうちに、儂が○○チューバーになってしもうてな・・」 「なんのこっちゃ、さっぱり分からん、私になにか隠してたん?」 「実はな、ギターを抱えたらサウンドホールの中から若い女性の声がするねんや。  最初は通販会社のプレミアムサービスか何かやと思うて電話したけど、ぼけ老人扱いされたり・・考えたらそんなサービスなんか聞いたこと無いもんな。 せやけど○○チューブに投稿してからは声せんようになってしもてな・・アンタにも・・」 「ハイ、ストップ!分かりました若い女性ね・・良かったやん若い女性で」  告白の途中だったのに『分かりました』って何が分かったのだろ。 若い女性とだけで話を受け止めてくれたけど、その女性の声のアドバイスがギターレッスンを伝授してくれたなど、私としてはまだまだ話足りない。 「お父さん、今ギター持ってこれる?」 「でも、もう彼女居ないと思うよ」 私はそう言葉を残すと二階の部屋へと向かった。 (何か歌わされるのかな? いや、今はギターの精霊女子の話をしているんだから) 「おお~い精霊さんよ、出て来ておくれ」って独りごちってみた。 {呼ばれました?旦那様} 「あれ⁉ 彼女戻って来てくれたんや、暫くやな、何処行っとたん?」 {ええ、少しの間里帰りさせてもらってました} 「へ~そうなんや、まるでうちの家内と一緒やな、お国は?」 {大分・・あっちゃうわ、福島です} (なんか今日の精霊さん、声が急に老けたみたいやな、そない言うたらイントネーションなんか家内そっくりやんか、それに『あっちゃうわ』って関西弁もまるっきり一緒や) {ぶつぶつ言うてんと、早よ持って降りて来て} 私はギターのネックを片手で掴みもう片方で階段の手すりをまさぐるりながら一人ごちていた。 (はいはい、・・『えっ持って降りて来て』ってまるで家内が下から呼んでるみたいやがな)
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