19人が本棚に入れています
本棚に追加
* * *
街の外にある平らな石の上に座り、ジオは宵闇を待っていた。街の外に出る道はこれ一つではない。いくつかある。だから彼が此処を通る保証はない。
懐かしい者たちに会った。
ガイレルド、レクス。
長い間会うことのなかった者たち。
そして、彼らもまたジオと同じように宵闇を知っていた。
ジオの中にあった疑問──それは長年答えが出ないまま燻っていた。だが、その疑問を解く鍵をようやく見つけた。
宵闇だ。
彼には何かがある。レクスとジオ、そのどちらもが偶然宵闇に出会ったというのは些か不自然だ。運命など信じる気は欠片もないが、全てが必然であったように思えてならない。
物思いに耽っていると足音が聞こえた。近づいてくる者の姿を見て、ジオはにやりと笑う。
「勘が当たったか」
宵闇は憑き物が落ちたかのように清々しい表情をしていた。そして、まるで何か覚悟を決めたような力強い瞳をしている。何処か弱々しく、何かから逃げているような雰囲気を醸し出していた彼とはまるで別人だ。
「ジオ」
「どうかしたのか」
「俺についてきてくれないか?」
宵闇の口から出てきた問いは、ジオにとって想定内のものであった。宵闇が何か聞きそうな雰囲気を醸し出すのを、何度もジオは気づいていた。
だが、それでも宵闇は最後には逃げて、聞くのを躊躇って……結局聞かずにいるのをジオは何となく悟っていた。聞かれないのなら答えない。だから今まで何も言わなかった。
けれど、今の宵闇は違う。もう逃げるのは、やめたのだろう。
「ああ、良いぜ」
逃げないなら最後まで付き合う。ジオにとっても宵闇と共にいられるのは好都合だ。立ち上がって宵闇の隣に立つ。
太陽が昇り始めた。空が明るくなっていく中、二人は街をあとにした。
最初のコメントを投稿しよう!