13人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
* * *
畳の上に布団も敷かずに宵闇は横になっていた。此処は彼の家だ。約三十年ぶりの帰還。村の者たちに今まで何処に行っていたのだと心配された。煌夜が亡くなったことを伝えると、皆悲痛な表情をしていた。
煌夜はこの村の者たちに愛されていたのだ。
「……結局、俺、何しているんだろう……」
ポツリと零れた言葉。逃げないと決めたのにジオを追いかけられなかった。あのとき彼が何を思っていたのか分からない。けれど、何か知っている……宵闇が知らない何かをジオは知っているのだ。それを聞かなければいけなかった。今更後悔したところでどうにもならない。
このままジオが戻って来なければ、それを知る機会は一生失われるだろう。
「……探しに行こう」
だが、その前に少しだけ眠ろう。何故だが無性に眠い。
瞼が重くなっていく。瞼を閉じると世界が暗くなる。
最初のコメントを投稿しよう!