【第一部】第4章 怒涛の悲劇①

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   * * *  畳の上に布団も敷かずに宵闇は横になっていた。此処は彼の家だ。約三十年ぶりの帰還。村の者たちに今まで何処に行っていたのだと心配された。煌夜が亡くなったことを伝えると、皆悲痛な表情をしていた。  煌夜はこの村の者たちに愛されていたのだ。 「……結局、俺、何しているんだろう……」  ポツリと零れた言葉。逃げないと決めたのにジオを追いかけられなかった。あのとき彼が何を思っていたのか分からない。けれど、何か知っている……宵闇が知らない何かをジオは知っているのだ。それを聞かなければいけなかった。今更後悔したところでどうにもならない。  このままジオが戻って来なければ、それを知る機会は一生失われるだろう。 「……探しに行こう」  だが、その前に少しだけ眠ろう。何故だが無性に眠い。  瞼が重くなっていく。瞼を閉じると世界が暗くなる。
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