【第一部】第3章 不穏の再来④

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【第一部】第3章 不穏の再来④

   * * *  暗い、暗い、暗い世界。 〝おい! 大丈夫か!〟  誰かが叫ぶ声が聞こえる。暗い世界に光が差し込む。ユラユラと世界が揺れる。光は徐々に大きくなり、視界にぼんやりと人の顔が映った。  再び聞こえた「大丈夫か!」という叫び声と同時に視界が鮮明になる。星空を背にした青年の顔が映った。黒い外套を身に纏い、青い瞳は暗く、引き込まれそうな恐ろしさがある。  頭が上に持ち上がる感覚がすると、青年が後ろに移動した。今度は視界に瓦礫が散乱しているのが見える。冷たさを感じる部分に視線を動かせば、石の上に手をついていたことに気づく。 「倒れてたが、大丈夫なのか?」  青年が眉を顰めて訊ねる。そこで視界が暗転した。
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