【第一部】第4章 怒涛の悲劇②

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   * * *  澄んだ湖と綺麗な緑色をした木々。そして、空からは太陽の光が差し込んでくる。  しかし、美しい自然の風景に似つかわしくないものがそこにはあった。  赤い色が茶色の地面を染めていく。 「どうして」  震えた声が響く。 「すまない、──」  誰かに向かって謝っている。  だが、その名はノイズがかかってよく聞こえない。  何度も何度も「すまない」と謝る声が響き渡る。  視線が動く。  赤い色の中心へと視線が動く。  そこには、女の姿が。  癖のない真っ直ぐで長い黒髪が赤い色と共に広がっている。 「う、ああ、あああああああああ!」  悲痛な叫び声に合わせて木々が揺れる。  強い、強い後悔の念が押し寄せる。  恐怖で思考が埋め尽くさせる。  目の前で、強い光が発せられる。  霧散していく光を追いかけると足元に冷たさを感じる。  身体が沈んでいく。そして、意識が呑まれた。  暗い、暗い場所にユラユラと漂っている。 〝なあ。なあ、お前!〟  強く揺さぶられる身体。  聞こえてくる声。  意識が一気に浮上する。そして、視界が鮮明に。 「おっ、気がついたか! オレ、煌夜っていうみたいだけど、お前は?」  茶色の髪をした少年が笑みを浮かべながら訊ねてくる。  彼の背後には、散乱した瓦礫。  空には星が輝いている。 「……俺……俺は……宵闇。たぶん宵闇っていう名前」
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