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故郷の村にいた頃から、この二人はずっとこんな感じだ。どこかアンバランスで危なっかしいのに、二人そろうと安定する。結局、二人そろって一人前ということかもしれない。
今日はちょっと厄介な狙撃の任務だった。なんせ、敵の輸送部隊の装甲車を迫撃砲や重機関銃ではなく、愛用の狙撃銃でなんとかしろとの仰せだ。それも、奴らが運んでいる特殊燃料は燃やすが、他の武器弾薬はできるだけ無傷で手に入れろ、という無茶な注文付き。
いやまぁ、やれと言われればやりますけどね。俺だって弾薬が無尽蔵にあるわけじゃないのはわかっているし。このくらいの無茶な任務は、今までだって数えきれないほどこなしてきた。
「とにかく、今日はお前たちが燃料を積んだ車をやってくれたおかげで俺らもやりやすかった。よくやったぞ」
「はい! ありがとうございます」
「光栄です」
破顔一笑。星空のように瞳をきらめかせ、輝くような笑顔を見せる狙撃手と、それを優しい笑顔で見守る観測手。この微笑ましい姿を見ていると、この二人が銃弾一発で敵さんの特殊燃料を燃やしてくれた凄腕の戦士だとは到底思えない。
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