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「……っ!?」
「守護者くんはライトを消してそのまま進んで。監視者くんは後方を警戒、何かあったらすぐ対応できるように」
「「了解!」」
期せずして声が揃う。二人とも意識が戦闘モードに切り替わった証拠だ。
『梟の尾より本部へ。聞こえるか!?』
途中の斜面からナフラを監視していた斥候からの通信。
森林狼の猛者にしては珍しく、動揺で声がやや上ずっている。
「こちら本部。何があった!?」
『ナフラで爆発です。シャクラから下りる山道とアルファーダに向かう幹線道路との交差点付近』
「まさか」
『はい。所属不明の車両が交差点に入ったところで爆発しました。おそらく、我々と間違われたものかと……』
「わかった。梟の尾はそのまま監視。他は全力でアルファーダに向かえ。すぐ人違いに気付いて追手が来るぞ!」
各々から了解の声が届くと同時に、前方を行くテールランプの光がスピードを上げたかと思うと、すぐに消えた。
相棒も負けじとばかりに前方の車両との間隔を保ちつつ、曲がりくねった岩だらけの道を、月明りだけを頼りに険しい山道を精一杯のスピードで突き進む。
車体が激しく揺れるのは前方の救急車も同じだろう。患者への負担が気になるが、今は一刻一秒を急がなければならない。
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