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ちょうどその時だ。
路上を掠めるように地面に当たった弾丸が小さな爆発を起こした。すえた様ないやな臭いが辺りに漂う。
着弾地点の周囲が瞬時に燃え上がり、闇に沈む道路があかあかと照らし出された。
「おっと……! こいつは焼夷榴弾だな」
地面に触れた瞬間に炸裂し、一気に激しく燃え上がる……この独特の爆発は、間違いなく瞬発式焼夷榴弾によるものだ。
つまり、これはごく普通の機関銃や小銃の弾薬ではないということ。
通常、機関銃や小銃の弾には炸薬は積まれていない。弾頭が小さすぎるからだ。
重機関銃弾として広く使われている有名な50口径だって、絶大な威力を持つけど炸薬は詰めていない。
炸裂する12.7mm弾が無いワケじゃないけど……僕たちがいるような紛争地帯に出回るほど、大量に生産されているシロモノじゃない。
ということは、それよりも大口径な弾丸を打ち出せる機関銃を使っている可能性が高い。
とはいえ、20mmクラスの機関砲だったら、僕らが今無事であるわけがないくて……
「……おそらく、大口径 重機関銃だな」
おじさんの言葉に闇の中で皆がうなずく。
「ならば、この集弾性の悪さも説明がつきますね」
「ああ、あれは装甲車より軽い車に積むには、ちと反動が大きすぎる」
おじさんと相棒が冷静に分析している。
どうやら敵は民生用トラックに重機関銃を取り付けた即席戦闘車両を使ってるみたい。
事実、この暗闇の中での射撃はひどく不正確なものとなっている。
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