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「狙いが正確になってるな。大口径重機関銃の射程は2000m……停車したまま狙ってくるぞ!」
ハンドルを細かく操作して左右に蛇行しながら窪地をたどる。極力狙いを絞らせないようにしながら、被弾面積を減らすためだ。
次々と襲い来る風切音。
また周囲で焔が弾けるが、着弾点がバラバラだ。
やっぱり即製戦闘車両では2射目、3射目の狙いをつけるのは難しそう。
数秒間射撃が止む。
嫌な予感がして大きくハンドルを切ると、今度は前を行く救急車のすぐ近くに着弾した。
雪原に飛び散るオレンジ色の焔。
『これ以上スピードは上げられません! 脳幹が傷ついている重症患者がいるんです!』
無線から聞こえてくる悲鳴のような声。救急車に乗り込んでいる市民防衛隊のメンバーだ。
「くそっ! あと2km……いや、1.5km先まで進めば友軍の検問所なんだが……」
荒地を進むなら、このままスピードを出しても時速30kmが限界だ。
それに、重症者がいるなら、こんな荒地を走って車体が揺れることだって避けたいはず。
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