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近付くヘッドライトに向かって迷わず撃つ。
ヘッドライトが一つだけ消えた。どうやらライトに当たったみたい。
小走りに移動して別の岩陰に。
それから息を吐きながらボルトを操作。
排莢。装填。閉鎖。
また息を吸って細く絞り。
軽く息を止めながら引き金を絞ってもう1発。
思い残すことは何もない……そう言ったら噓になる。
それでも、いつこの生命が刈り取られても仕方がないくらいには、僕も誰かの生命を刈り取ってきたのだから。
最期の時が訪れる、その瞬間まで。
戦って戦って戦い抜いて……少しでも効果的な死に方をして、仲間に最大の利益をもたらす。
そこまでが、戦士としての僕の役目だ。
機械的に引き金を絞り、前進して岩陰に身をひそめる。
ボルトを操作。排莢。装填。閉鎖。
呼吸を整えながら、近付いてくるヘッドライトの上を狙う。
パンパンにふくらんだ風船が割れるような音。
鋭い風切り音と共に飛び出した直径7.62mmの弾頭は、秒速800mの速さで標的へと突き進む。
ここは絶対に通さない……そんな僕の想いを乗せて。
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