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先を進むヘッドライトが左右にぶれた。車体のどこかに当たったのかも。
一気にスピードを上げる3つの光点。かなり頭に血が上ってるみたい。
敵のいら立ちが伝わってくるようで、つい笑ってしまいそうになる。
僕の周囲に届く弾丸も増えてきた。
降り注ぐ銃弾の雨が雪と泥とを巻き上げる。
――そうだ、こっちに来い。僕のところに。
そんなことを考えている間にも僕の手は止まらない。
排莢。装填。閉鎖。撃つ。前進。
排莢。装填。閉鎖。撃つ。前進。
同じ手順の繰り返し。ヘッドライトはどんどん大きくなる。
周囲に絶え間なく降り注ぐ鉄の嵐。
僕が引き金を絞るたび、ふらつくように光が揺れる。
排莢。装填。閉鎖。撃つ。前進。
また一つ、灯りが消えた。
もうお互いの距離は600m。
ライトの動きが止まった。
光の中にいくつもの影が浮かび上がる。何か指さして怒鳴ってるみたい。
車列より先に僕を始末するために、部隊を散開させてるんだろう。
多分あれが指揮官だ。
ためらうことなく腹のあたりを撃つ。
崩れ落ちる黒い影。
他の影がばらばらと動く。
動揺しているのか、復讐に燃えているのか……
あるいは、その両方か。
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