樫杖の蛇【17】グジム視点

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「ここまで来れば、後は彼らに任せて良かろう。行くぞ!」 「はい!」  急ハンドルでUターン。ハキム師は一気にアクセルを踏み込んだ。  見る間に近付く銃火の光。 「まず私が奴らの即製戦闘車両(テクニカル)を片付ける。君は散開している敵を!」 「了解っ!」  トラックが停車するのを待たず、助手席の窓から飛び降りる。  前方の闇の中で瞬く炎の群れ。  耳をつんざく銃撃の音。  猛々しい獣のうなり声。  あのただ中に、俺の大切なひとがいる。  今すぐにでも愛銃を乱射したい所だが、まだその時ではない。  もどかしさをおさえて、大地を蹴ってひた走る。    背後で次々に起きる轟音が6つ。  大気をびりびりと震わせながら俺の傍らを通り過ぎた何かは、前方の車両に突き刺さると同時に爆発した。  振り向かなくてもわかっている。  出発時に俺が積み込んだ携行対戦車ミサイル(ATM)……  あれをハキム師がまとめてぶっぱなしたのだ。   「こんな事もあろうかと思って」  そう言えるほどには、ここまでの危機を正確に予測していた訳では無いが。  それでも「備えあれば憂いなし」と言ったところか。
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