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これは、私が現在勤務している会社で起きた出来事だ。
私の会社は、以前は池袋に本社があったのだが、業績が好調であった事と人員が増えた為、新橋にある大きなビルにオフィスを借り、そこに移転する事になった。
築浅で駅近、地下にはカフェやレストランもある、素晴らしいビルだ。
そうして、移転をしたのだが。
当日、私達が新しいオフィスに到着してみると、玄関やオフィス内に大量に飾られた引越し祝いの胡蝶蘭の鉢の中で――たった1つだけ、黒く枯れ果てている胡蝶蘭の鉢があるのに気がついた。
「なんだ、業者が間違えたのか?」
社長はその鉢を破棄することを事務員さんに伝え、私達も通常の業務に集中する。
しかし、数日後。
今度は、届けられたばかりのインテリア用の観葉植物が見事に枯れ果ててしまったのだ。
しかも、あの胡蝶蘭が枯れたのと同じ場所に飾られていたものが。
「もしかして、日が当たりすぎとか。環境が良く無いのかな」
そう言いながら、観葉植物を破棄する事務員さん。
そのスペースは植物を置くには向かないスペースとして、社員のデスクが置かれる、執務スペースの一部として扱われる様になった。
そうして、そこのデスクに座席が決まった、入社したばかりの新人の青年。
だが、彼は日に日に体調を崩し、遂にある日――業務時間中にパニックを起こして暴れ回り、社員に怪我を負わせ、退職してしまったのである。
それでも、社内では、
「まぁ、新人だから。慣れてない業務でストレスが溜まっていたのだろう」
という声が多かった。
けれど、次にそのデスクに座った男性――勤続18年、健康診断でも今までひっかかかったことのない体力自慢の男性が日に日にやつれ、遂には新人と同じ様にパニックに陥り暴力沙汰を起こしてしまった際、会社はやっと事態の異常さに気がついた。
以来、そのスペースには何も置かれておらず、近寄る人もいなくなっている。
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