庭が護っていた

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今、現在私が住んでいる家の、3軒隣で起きた出来事だ。 3軒隣には、5年前までとても仲の良い老夫婦が暮らしていた。 しかし、奥様が亡くなられた際、一緒にいた家にこれ以上いるのは辛いということで、ご主人は老人ホームに移ることになる。 そうして、家は別居していた老夫婦の息子一家に譲られる事になった。 その際、息子夫婦の中学1年生になる娘さんによると、ご主人は息子一家にこう伝えたらしい。 「リフォームでもなんでも好きにしていい。でも、庭だけは絶対に手を入れるな。草木はいじっちゃならん。変えちゃならん」 最初は、その言いつけを守っていた息子一家。 けれど、一家の奥様の趣味がダーデニングであったため、かなり大きな手入れを行い、イギリス風の庭に作り替えてしまったのである。 その手入れを行なった日の夜。 家に帰るため、その家の前を通った私は、家の中から女性の大きな叫び声が聞こえて来たのに気がついた。 慌ててインターフォンを押してみると、女の泥棒が入ったらしい。 警察はもう呼んだということで、その場を離れる私。 しかし、その日を境に、その家からは毎晩誰かがパニックを起こしているかの様な叫び声や悲鳴が響いてくる様になった。 そうして数日後、私は、息子夫婦が工事業者を呼び、庭を老夫婦が生きていた頃と同じ様に直して貰っている場面に行き合った。 だが、それからも悲鳴や叫び声は止むことはなく。 数日経って息子一家はあの家を手放した。 以降、何人もの人達があの家に転居してきたが、皆、3日と経たずに出ていっている様である。
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