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うちの近所には、盗癖のある若い女性が住んでいた。
名前は、真希さん。
20代の、一見至って普通の女性だ。
しかし、彼女は人の家の草木や鉢植えを夜中に盗んでは、それらを転売することでお金を稼いでいた。
何度も何度も、転売を繰り返す真希さん。
そんなある日、彼女は私の友人の家の庭に新しく植えられた勿忘草に目をつける。
そうして、花が満開になった頃、真希さんは夜中に友人の家の庭にこっそりと忍び込み、花を掘り起こすと、土ごとどっさり持って帰っては転売した様だ。
が、それから数日後。
私は真希さんがパニック状態になって救急車で運ばれていくのを目撃した。
彼女の両腕や顔には細かい引っ掻き傷の様なものがたくさんついており、しきりに、
「猫が追いかけてくる!どこに逃げても追いかけて来るのよ!」
と、叫んでいた真希さん。
私はその様子を、真希さんに花を盗まれて激怒していた友人に、早速電話で報告をする。
すると、友人は、私の報告を聞くや、至極楽しそうな声音でこう告げた。
「ミケの恨みだ、ザマァみろ」
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