3人が本棚に入れています
本棚に追加
夏の夕暮れ。ひぐらしが鳴いていた。山は影で黒く、空は緋色に染まり、俺は山の頂点で人差し指を空へと突き刺した。その時だ。
俺の影は夕日で伸びて、伸びて伸びて、100メートル、500メートル、一キロ。伸びて伸びて、伸びていく。
夕日が海に沈む前に俺の影は地球を一周するほど伸びたのだ。やったぜ、俺の影は地球一個分。
夜になり影がなくなると共に俺の命が尽きた。無理し過ぎた。次の人生では影の薄いキャラを演じよう。
最初のコメントを投稿しよう!