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「辛くないの?」
姉ちゃんは、メールでやり取りするのを嫌がる。声を聞かないと、本当の姿がわからないからだという。
けれど、声優の追っかけをしているくらいの、声フェチなだけかもと思うんだけど。まぁ、心配してくれてるのは本当だから、そんな事は言わない。それに俺も、姉ちゃんの声を聞くとホッとするんだから。
母ちゃんは、家柄が良い山の手で育ったらしいが、男運が無かったのだろう。結局、実家とも疎遠となって地方で生きている。綺麗な標準語を話すが、如才ない人柄からか、方言もすっかり馴染んでいる。
姉ちゃんは、これからどうするんだろう。そうふと思ったりもするが、あの逞しい姉ちゃんのことだ、口出ししたら大変な事になるので、やっぱり言わない。
そんなんだから俺は、見た目優男として舐められてるのかなぁと考えながら電話を切った。
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