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幼なじみの幸は、地元の専門学校に通っている。時々メールでやり取りをするが、以前のように毎日会って喋っている気楽さは無くなっていた。 「仕方ないか…。」 そうひとり呟いて、非番の1日をどう過ごしたものかと思案した。 10ヶ月過ごした府中にある警察学校での寮生活では、40人程の同期がいて誰かしらとつるんでいたのでこんな感情とは無縁だった。 比較的若く闊達な雄国(おぐに)教官だったので、雄国班は特に仲が良く3人の女子も含めて和気あいあいとあっという間に10ヶ月経っていた。 俺とトップを争った国定(くにさだ)とで、いい刺激となって班を牽引し、俺が首席、国定が次席のツートップ卒業。女子では望月(もちづき)が、合気道で6段の段位持ちということもあって表彰されたことで、同期卒業10班の中でも注目を浴びた班となった。 初任科卒業後、俺は浅草署に卒配され日本堤交番勤務となり台東区浅草にある単身寮に移って2ヶ月経つ。大分生活にも慣れてきたが、またすぐに3ヶ月の初任補修科に入るため、同期は寮生活に逆戻りだ。 国定は、本人の希望通り規模のでかい新宿署へ卒配され、日本で一番忙しいと言われる歌舞伎町交番で働いている。 望月は、初のノンキャリ女性警視正がいる上野署で、腕っ節も然ることながら語学も出来るので上野駅前交番で外人相手にバリバリ働いているらしい。 そんな同期の国定と望月とは、卒配後もまめに連絡を取り合う仲間となっていた。 情報交換といいつつ飯田橋にある国定が馴染みのイタリアンで、寮に戻る前に都合を合わせて1度集まる事にもなっていた。
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