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とはいえ、三人とも全く警察学校に入った経緯など話した事もなく、意外と仕事や毎日の学修の話しばかりで酒をどのくらい飲むのかも分からないなと気がついた。
国定が、洒落たイタリアンの店を馴染みとしていたことも意外だったし…。
俺は、最悪の男の影響で普段酒を飲まない。飲めない訳ではないが、飲むのが怖いのかもしれない。あの男のようになるのではないかと、心の底で怯えているのだ。
そんな事を頭から振り切るために、寮をとにかく出た。3月とはいえまだかなり寒い。東京は、海沿いの育った街より南に位置するのに、乾燥した風が肌を切り裂くように冷たく感じる。
ジャケットの襟を少したてて青空を仰ぎながら、山谷へと足を向けた。安くて美味い焼鳥屋で、とりあえず腹ごしらえでもしようかと。
それが、俺の人生をこれほど変えるとはこの時は思いもよらなかったのだ。
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